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『舟を編む』観てきた。

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予告編を見て感心はあったものの、海のものとも山のものともつかぬ雰囲気が吉と出るか凶とでるか悩みどころだったので、公開から今日まで様子見をしてしまったのですが、床屋がすんだ後に丁度良く時間ができたのでシネコンに走ったのです。本編はまさに海山で、唯一無二の不思議な映画でした。


一人の男が辞書の編纂に携わり、長い時間の果てについに完成にたどり着くまでを淡々と描いた作品で、画面には唯々、一編集者の職場と自宅(と飲み屋)での日常が映し出されます。あらすじを言えばそれが本編の全てになってしまうほど、作中にあるのは普通の社会人の人生そのもの。


だからこそ働いている人の多くが、この作品の根底に流れているテーマに深い感慨を抱けると思うのです。ひた向きに仕事と向き合うことの大切さ、その結果、精一杯人生を歩むことのすばらしさ。地味で真面目な生き方に対する讃頌は、結果、何故か深く印象的な感動を記憶に刻みます。(逆に言えば、たぶん未就労の高校生とかがみたら酷くつまらなく感じると思う。)


俺も仕事頑張ろう、そう思えてくる映画でした。


余談1

この映画で目を引くのが、出版社『玄武書房』の辞書編纂室と、主人公の馬締光也の下宿先として登場する『早雲荘』の舞台セット。どちらも書籍の巣窟なのですが、特に木造二階建ての老朽家屋である早雲荘の「らしさ」は目を見張る物があり、大量に山積された本と生活感が融合した様は圧巻です。実際にどこかの戸建てを借りて撮影したのかと思いきや、パンフレットによるとあくまで舞台セットで、リアリティを追求するため建具やガラスなどは実際に古い物を探してきて取り付けた、とか。美術さんスゲェ!ってなる映画でした。


余談2

皮肉にも辞書がパラパラ漫画に適していることが理解できる映画でした。

投稿者 sbifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)

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