ハーモニー観てきた。 |
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早朝回だったにもかかわらず、ワケあり前倒し上映での『鳴り物入り』効果もあってかほぼ満員御礼。なかむらたかし監督作品をスクリーンで観るのはパルムの樹以来。っていうか、もう13年も前か、アレ。
以下、ネタバレしないように大まかな説明。
生命保全の名目で、体内に肉体を保持する機械をインプラントした未来社会。平和で安全な共生社会を約束される代わりに柔和的な協調思考を促されて、政府の管理下に置かれる人々。
主人公トァンは少女時代、ともに過ごしたミァハの管理社会に抵抗する姿勢・言動に心酔していた。彼女に促され、友人キアンと共に三人で自決による『社会に対しての反抗』を行うも、一命を取り留める。キアンも自決に至れず、結局ミァハのみが逝くこととなる。
時が過ぎ、WHO所属機関の上級監察官となったトァンは、管理社会に挑戦するテロ行為と対峙することとなる。自我のコントロールに介入し自決を促す精神攻撃を受けて次々と死んでゆく人々。事件を追ううちに、そこにかつて死に別れたミァハの影を見つけて・・・こんな感じ。
仮想世界を通しての問題提起ではあるけれど、個人の自由意思と行き過ぎた社会調和のあり方について問うテーマは考えさせられるものがあり、練り込まれた深い精神性も垣間見えました。特に劇中、折に触れ回想される少女達の閉鎖的なコミュニティのシーンは甘美で叙情的。
で、ですね。故に、というか何故に?というか・・・・それらテーマの深さや映像としてあるべき官能さに、CGという表現手法がマッチしていない印象を受けました。『CGで良かった作品』と『ガッカリCG作品』ってあると思うのです。良かった作品でいうと、楽園追放とか。激しく動き回る画面と覇気溢れるキャラクター。物語のテンポといった要素も絡んでくると思います。ツルっ・パキっとした質感でも、アンジェラバルザックは『それが良かった』。
でも今回は作品の精神性に映像表現が追いついていない印象。少女同士の肉体的な接触も官能五割減といった感じ。モーションも不自然な箇所がちらほら。CGじゃなければ絶対にもっと良かったのに、そんな風に思ってしまう。(誤解がないように補足しますと、CGとしてのクオリティが低いわけでは無いです。あくまで合ってないって話。)結果として、(原作未読ですが)たぶん映像で見るより小説で読んだ方が純粋に物語の世界・精神性を楽しめそうな予感。なんか勿体ないなぁって。
物語の結末、トァンとミァハの関係は終焉を迎えますが、作品としてのテーマは問いかけられたまま余韻として残ります。トァンの出した答え「それはそれ、これはこれ」が心地よい、そんな印象を受けました。
余談
決して前のめりになって画面に食いつくようなタイプの映画ではないので、人によっては退屈かも、とか。総じて淡々とした流れで話が進みますし。自分も朝イチということもあってかなり欠伸してたんですが、隣の席の人はラストシーンでいびきかいてました。ちょっと面白かった。
投稿者 sbifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)