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聲の形、観てきた。

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 平日なのにいい感じの混み具合。小学生三人組が前の方に陣取ってたんですけど、おまえら学校サボリかよ・・・


(以下、ネタバレ含みます。)


 ともすれば題材だけで「障害者とどう向き合ってゆくか?」というテーマの映画と勘違いされそうですが、そうではなく、主題は「(健常者・障害者に関係なく)誰の中にでも遍在する、人と人との間で生まれる感情に自身がどう向き合ってゆくか」というもの。山田尚子監督ということで絶対に上手く仕上げてくることは疑っていませんでしたが・・・予想の上を行っていました。


 原作を2時間の映画にするにあたっての「切った・残した・詰めた」の手腕がすごい。(ここは脚本:吉田さんの力量も大きいかと思われます。)

 ともすれば陰惨さが目立ってしまう小学生時代のいじめのシーンを、早めのカット切り替えとハイトーンの明るい画面構成で、重すぎないように伝える絶妙な力加減(だっていじめそのものがテーマじゃないもの)や、観覧車での出来事から橋の上での決別、硝子の自殺未遂までの流れの一貫性(この辺、原作では自主映画製作が絡んできて尺が伸び伸びだった分、伝わりにくかった)など、本当に過不足なくまとめられています。

 また、言葉よりも仕草や表情を端的に用いることで得られる体感的なテンポの良さも印象的でした。アニメって、やっぱりこういったノウハウ/技術の突き詰めなんだなぁってつくづく思った次第。


・潘めぐみがまた新しい声を出してた。この人本当にどれだけ違う声だせるの・・・・

・佐原のビジュアルが原作の五倍増しくらいかわいい。万歳もかわいい。

・原作でもそうだけど、川井と真柴はどうにも免罪されきれない感が。


 個人的に印象が強かったのは、将也の入院中、将也母に硝子母が土下座をする場面。

 原作だとカットアウトした状態で動作が行われた扱いになっていていきなり土下座が完了しているのですが・・・映画では動きがついて、隣に結弦が駆け寄るシーンが丁寧に描かれることによって、冷淡な人物として描かれてきた硝子母も命の重さを知る人の親、という意図が強くにじみ出ていました。土下座は、そこに至る過程の動作こそ重要なのかもしれない。


 物語の最後ですが、将也と硝子が手を取り合って未来へ進む「二人の物語」として描かれた原作とは対称的に、映画では「石田将也の物語」として、彼が世界と向き合うシーンで帰結します。この辺もまた、テーマをストレートに伝える演出として上手く機能していると感じました。


これは、円盤間違いなく買う。


【蛇足】

 硝子ですが、吃音という性質上セリフが聴き取りづらいため、原作を読んでいないと何と言っているのか分からず戸惑うシーンがあると思います・・・でも、多分それを含めて織り込み済みな気がする。

投稿者 sbifb4 | 返信 (0) | トラックバック (0)

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