この世界の片隅に、観てきた。 |
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東京国際映画祭のワールドプレミア。
あえて恐れずに一言でまとめると、
「この物語は北條家の平凡な日常を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください(ただし、絶賛戦争中)。」
どうしても過去の戦争を振り返る時、人はマクロな視点で総括的に捉えて戦争被害を死人の頭数で表現しようとしがちですが、この作品では戦時下における日常を主人公すずの目を通して描くことで、徹底的なミクロ視点を貫いています。
往々にして個人というのは国家の大局の中に組み込まれてはいても、その日の生を全うすることにのみ生きている。自らの力でどうにもならないことには盲目で、「ただ生きるために、生活する」という愚直さは、ときに人の心を真摯に打ちます。たとえその日常が、一人、また一人と近しい人の命が失われてゆく状況であっても。
これは現在の平和な時代を生きる自分たちにも普遍的に共通するもので、結局のところ、置かれた環境を手持ちの駒で生きていかなければならない。
この映画は、そんな生きることの本質について、ちょっと立ち止まって、改めて考えさせてくれる、そんな作品です。生きるってなんだろうね?(哲学)
あ、あとこれ、MAPPAなんですよ。仕事の丁寧さに頷きながらも、今までにない作風だったのでびっくり。
(以下、蛇足)
上映後に片渕監督とすずさん役ののんさん(旧:能年さん)が登壇されたんですが、監督は終始あがりっぱなしでカッチコチ、能年さんは(理由は不明ですけど)全く覇気のないお通夜帰りみたいなロー・モチベーションで、なんなんだこれ?って感じでした。もうちょい段取りとか雰囲気とか、なんとかしようがあったんじゃ・・・
投稿者 sbifb4 | 返信 (1) | トラックバック (0)